ダンペン訪問記
信じられない事が起こりました!2019年3月に、僕の憧れのダン・ペンが、しかもスプーナー・オールダムと一緒に来日ライブをする事を聞きつけ、以前に、僕がFM大阪でやっていたラジオ番組「アサキチのぬかるみアワー~Take you to The SWAMP~」の、ダン・ペン来日記念の特番を組み、その中で僕がダン・ペンにインタビューをするという案が持ち上がりました。外タレは気分屋も多いし、特にライブ前という限られた時間なので、本当にインタビュー出来るかどうかは、当日にならないと解らないとも言われていました。しかし、ダン・ペンとお会いして、非常に和やかなムードでインタビュー出来ました(写真-1)。さらに、偶然その頃録音中であった僕の2nd.ソロCD『ぬかるみ天国Ⅱ/アサキチ』の中の1曲、彼と故ド二―フリッツ作の”Memphis Women and Chicken”の大阪弁訳バージョン「南部女とフライドチキン」のデモ録音を彼に聴いて貰い、なんと、お墨付きを頂きました!
その後、僕は彼とメールでやり取りをして、遂に、同年(2019年)8月3日から11日まで、彼とリンダ夫人に会いにナッシュビルに行く事になりました。そして、これも偶然なのですが、この期間中の8月8日にナッシュビルで彼のソロコンサートがあり、それも観る事が出来ました。今回の旅行のメンバーは、僕、Misa、ホーリー(key.)以外に、僕らの3人娘(26才、22才、18才)も一緒に行く事になりました。長女は、NYにダンス留学中なので直接、あとの二人は日本から1日遅れて到着しました。 ナッシュビル初日の夜は、悪天候のため飛行機が5時間遅れで到着後、ダウンタウンの端に位置する、今回宿泊するモーテル”Bode Nashville”にチェックイン(写真-2)。その後、パイレーツカヌーの岩城くんおススメのライヴハウス”Station In”へ、3人で出掛けました。満員の店内で、”Fireball Mail”による本場のブルーグラスをいきなり堪能しました(写真-3)。2日目には、3人娘が合流して、一緒にダウンタウンへ(写真-4)
3日目は、再びダウンタウンをぶらぶらした後、5人は、高級リゾートホテル”Gaylord Opryland Resort & Convention Center “でプールを満喫。僕はひとり、モーテルの壁に掛けてあったギターで曲作り。4日目(8月6日)、いよいよ念願のMuscle Shoals Sound StudioとFame Recording Studiosに向けて出発。アメリカ南部の風と光と薫りを感じながら、ダッジ・キャラバンで約3時間のドライヴ。途中で寄ったgas stationもなんともひなびていい感じ。 テネシー川の橋を渡る時は、なんとも感慨深い想いでした(写真-5)。
いよいよ、アラバマ州の北部マッスルショールズに到着。Muscle Shoals Sound StudioとFame Recording Studios共に、スタジオ内を見学する事が出来ました。スタジオ内では、マッスルショールズサウンドを支えた素晴らしいミュージシャン達の気配や染みついた音を感じるような独特の空間でした。そして、ここに今僕が立てている事が、夢のように思えました。やっぱり、本場には、実際に行って感じてみないと、いけませんね。それぞれのスタジオ共に、エントランスの小スペースには、T-シャツやキャップやピック等のロゴ商品のショップがあって、僕らはもちろん色々な物を買い漁りました(写真-6&7)。遅めの昼食は、”Champy's Famous Fried Chicken”で、もちろん本場のフライドチキンをいただきました(写真-8)。
5日目(8月7日)、遂に、ダン・ペン宅を訪れる日がやって来ました! 僕らのモーテルからは、車で約20分位のナッシュビル郊外の緑の豊かな清楚な住宅街の中に、ダン・ペン宅はありました。到着すると、ダン・ペンとリンダ夫人と彼らの友人で”Dan Penn Museum”の代表のエドが、僕らを笑顔で温かく迎えてくれました。もう最高です!そして、僕の名前”Asakichi”がどうも覚え難い様なので、これから”Asa”と呼ぶ事にしました。エドとは、今回初めてお会いしましたが、長身で優しい目をした物静かな紳士って感じでした。
1階で少し話をして、日本からのお土産のダン・ペン用の甚平とリンダ用の扇子を渡して、いよいよ地下にある”Dandy Studio”へ。コンパクトなスペースですが、ボーカルやドラム用のブースもあり、最近のアルバムは、ここで録音しているみたいです。まずは、僕が持参した2nd. CD『ぬかるみ天国Ⅱ/アサキチ』を1曲目から順に、端折りながら全曲聴いてくれました。中でも、3曲目の僕がマッスルショールズサウンドを意識して作った6/8の曲「Turning Point」を気に入ってくれたようで、ずっと聴いてくれていたところ、Misaが感動の余り泣いてしまい、なぜ泣いているのか解らず困惑しながらMisaを気遣うダン・ペン。まさに、感動の泣き笑い劇場(笑)!「南部女とフライドチキン」は、やっぱりお気に入りのようで(リンダ夫人も)、この1曲だけは2回も聴いてくれました。”Dandy Studio”でダン・ペンと一緒に、『ぬかるみ天国Ⅱ』を聴いているなんて、本当に夢の中にいるようでした(動画1~3)。
その後、彼が今作成中であるnew albumの全6曲を一緒に聴きました。相変わらず素晴らしい曲です。いつも通り、少しコード進行を変えてくるんですよね。それが、まさにダン・ペン節。そして、ソウルフルで芳醇な声とバックの深いサウンド、その間をゆるやかに流れる風と全体を包み込むような温かい雰囲気。今回、僕もオープンリールを使ったりして音質にはこだわったつもりでしたが、やっぱり違うんですよね。もう、ここアメリカ南部は、空気そのものの成分が違うんじゃないかって思いました。 その後、何か変な音の出る楽器を嬉しそうに鳴らす、お茶目なダン・ペンも見る事が出来、記念すべき1日になりました(写真-9 & 動画4)。
再会を約束して、ダン・ペン宅を後にし、ダウンタウンに戻り、夜は”Puckett's”で”Jon Bowlin”のカントリーライヴを聴きながら、皆でディナー。後で知ったのですが、僕が手渡した2nd. CD『ぬかるみ天国Ⅱ/アサキチ』の1枚は、数々の世界的に有名なCDやレコードと一緒に、アラバマにある”Dan Penn Museum”に陳列してくれているそうです。日本人のCDとしては、もちろん初めての事のようです(写真-10)。
6日目(8月8日)、早朝に次女と三女が一足先に帰国。 僕ら4人は、Fame Recording Studiosの係りの人に勧められたJack Whiteのお店”Third Man Records”や巨大な楽器屋さん”Carter Vintage Guitars”を見に行きました(写真-11)。そして、夜は”City Winery”での、Dan Penn solo concertへGo!真ん中の前の席で、ゆっくりワインとディナーを取りながら、ダン・ペンの演奏を楽しんでいると、“Memphis Women & Chicken” を演奏する前に彼がMCで、「日本から来たfriends がこの曲をカバーしたよ」と言って、僕らを紹介してくれたので、お客さんに手を振って挨拶しました。感激でした~!コンサート終了後は、色んな人から声をかけて貰いましたが、彼の友人やお客様は、兎に角あったかい!アメリカ留学時代の僕の苦い経験とは全く違い少し戸惑いましたが、やはり、全て彼の人柄によるものなのでしょうね(写真-12 & 動画5~8)。
帰国前日の7日目の朝は、僕を残して3人はGoats Yoga(ヤギとヨガ)に。夜は、エドのお勧めの”Big Shoes”を聴きに、”Bourbon Street Blues and Boogie Bar”へ。ここがまた最高! このバンドのギタリストである“Will McFarlane” は “Dandy Studio”で聴いたダン・ペンのnew albumでも演奏している有名なギタリスト。ナッシュビル最後の夜に、まさにマッスルショールズサウンドを体感する事が出来ました。因みに、ホーリーはちゃっかり”Big Shoes”のCD2枚を買ってました(写真-13 & 動画-9)
帰りの飛行機は、特にトラブルなく無事帰国。
こうして、「ナッシュビルの夢のような濃厚な1週間」が終了しました。